こんにちは!合理的でわかりやすいを目指すいまどき着物講座です。
第5講座は着物の素材と織(おり)。
着物といえば正絹(しょうけん)というイメージですが、実は正絹以外にも様々な素材があります。
また同じ正絹でも、織り方で格が変わることも。
信じられないと思いますが、基本的なことを知らないと、着物屋さんでとんでもないものを買わされることがあります。今回はそんな着物の素材と織について学びましょう。
主な素材は5種類
まずは着物の素材から。「どんな糸でできているか」の分け方です。
①正絹
着物といえばのシルク。しなやかで光沢があり、温度調節機能にも優れます。一方で変色や防虫対策など手入れは大変。生糸を使った一般的なもののほか、紬糸(節ある糸・つむぎいと)を使った大島紬などの織の着物もあります。
②木綿
普段着としてよく着用されるのが、コットンの着物。家庭で洗濯も可能です。しじら織などブランド産地もあります。最近人気のデニム着物もこちら。
③麻
風通しがよく、主に夏の着物の素材として多く使われています。家庭で洗濯可能です。上布(じょうふ)は麻の着物の代表例。
④ウール
普段着として着用し、また裏地を付けず通年単衣です。シワになりにくい。洋服同様に、カシミヤやアンゴラ混なども。お手入れも素材によります。
⑤化繊
ポリエステルを中心とした、化学繊維の着物です。洗濯や保管など扱いやすいのが最大のメリットですが、歩くと八掛がうるさいものや静電気が強く出るものなどあるので、あまり安すぎるものは避けたほうが無難。
織り方の種類はたくさん!
素材×織り方=着物の格となり複雑。今回は主だったものを。基本的に正絹ですが、化繊は同じ織り方をしています。
①染めの着物
・縮緬(ちりめん)…表面にシボのある生地。厚みがあるので秋から春先まで着用。関西の喪服も。
【産地】丹後ちりめん・浜ちりめん
・紋意匠(もんいしょう)…縮緬の一種。シボではなく美しい地模様のある生地。色無地や色留袖に多い。
・一越(ひとこし)…縮緬の一種。シボは細かくざらついた感じで、着崩れしにくい。留袖や風呂敷によく使われる。
・羽二重(はぶたえ)…平で滑らかな生地。着物から裏地まで様々に利用される。関東の喪服地はこちら。
・綸子(りんず)…柔らかく滑らかで、地模様がある。光沢があるので黒留袖や喪服以外の着物に使われる。
②染めの着物(夏物)
・絽(ろ)…透け感があり、ボーダー状に折り目が見える。小紋の他フォーマルもこちら。
・紗(しゃ)…全体的にシースルーになっている。透け感が特に強いので、7・8月のみ。
・羅(ら)…編み目が荒くざっくりした雰囲気。盛夏の帯などに多い。
③織の着物
・紬(つむぎ)…先に染めた紬糸を使って織った着物。ざっくりとしたものだけでなく、大島紬のように滑らかなものも。高価なものも多いが、普段着〜おしゃれ着としてのみ着用可能。
・お召し(おめし)…織の着物の中では1番格上で、無地なら紋をつけて略礼装とする場合も。光沢とシャリ感がある。
【産地】西陣御召・塩沢御召・白鷹御召
・銘仙(めいせん)…大正から昭和に流行したためアンティーク着物に多い。絣柄が一般的。普段着として着用。
【産地】足利・伊勢崎・秩父
・上布(じょうふ)…上質な麻の生地で夏物に使われる伝統的な布。ユネスコの無形文化遺産にも登録されている。
【産地】宮古上布・越後上布・近江上布・能登上布・八重山上布・薩摩上布
・縮(ちぢみ)…強い撚りをかけた糸で織るシボのある着物。正絹だけでなく、綿や麻でも。主に夏の着物に。
【産地】小千谷縮・越後縮
・しじら…糸を不均衡に織ることでシボを作ったもの。素材は綿。浴衣や夏物、日用品にも使われている。
【産地】阿波しじら
さいごに
いかがでしたか?正直私もこれを書くために結構調べました。普段はほとんど化繊なので…店舗で実際に見るのが一番の勉強かと思いますが、難しい時はネットショップで色々見てみるだけでも発見があるので、ぜひ覗いてみてください。