こんにちは!合理的でわかりやすいを目指すいまどき着物講座です。
第9講座は帯の柄と技法
前々回の着物の柄の回で、柄の季節や意味などを学びました。基本的に帯の柄もそこは同じです。でも着物は化繊を推している私ですが、実は帯はほとんど正絹を使っています。というのも着物ほどは着用時に汚れるものではなく、また化繊となるとデザインがかなり限られているためです。
機械で織り上げる化繊と違い、正絹の帯となると気にする必要がでてくるのが技法による帯の見分け方です。同じ花の柄でも、技法によって印象が全く変わります。今回は帯の柄付けと、スタンダードな技法をご紹介します。
帯の柄付け
前回帯の種類を学びましたが、柄付けでも帯を分類しています。柄付けは袋帯・名古屋帯に共通です。着物を選ぶ際にこだわる必要はありませんが、着付方法が少し変わるので理解は必要です。
①全通(ぜんつう)
帯の端から端まで全て柄付けされている帯。柄の場所が制限されないので様々な結び方が出来たり、多少汚れても汚れを避けて結ぶなど工夫できる。ただ全体的に柄布が必要で割高になるため、最近は少ない傾向。
②六通(ろくつう)
手先とタレの間4割ほどが無地の布になっている(つまり柄部分が6割のため6通)。柄が始まる場所を目印に着付できるのでお手軽。いまは最も多いタイプ。
③お太鼓柄・ポイント柄
お腹部分やお太鼓等だけに柄があるもの。柄が正しい場所に来るよう着付の際注意する必要がある。また結び方もお太鼓系に限られる。
帯の技法
そしてその帯をどのようにして作ったかが技法です。こちらもたくさんありますが、今回は私が独断で選んだ、ネットショップやフリマサイトでよく見る技法10選です。
※一部着物で使われているものもあります。
①博多織
前回通年使える帯として紹介した博多織。その名の通り産地は博多です。特に献上柄という独鈷と華皿、縞を組み合わせた柄で有名。八寸名古屋帯に多いです。また男帯(角帯)や伊達締めにも。
②西陣織
日本一生産量が多いとされる、京都西陣を産地とする帯。金糸を使った礼装用から日常の名古屋帯まで様々。
③佐賀錦
金銀泊を和紙に貼って切った糸を使って織った帯。華やかな礼装用の帯が主で、バッグなど小物にも用いられる。
④縮緬
織の着物の回でも紹介した生地の織り方の1つ。実際には縮緬の生地に何かしらの染めの技法で柄付けしたものが多い。シボに暖かみを感じるため秋冬用とされる。
⑤塩瀬
糸と糸の隙間が小さくサラリとした手触りの生地。羽二重の一種。刺繍や手書きなどで柄付けされたものが多い。九寸名古屋帯だが比較的涼しげな見た目から、5月や9月の暖かい時期でも着用できるので便利。夏物として絽塩瀬もある。
⑥刺繍
様々な生地の帯に刺繍が施されたもの。相良刺繍(さがら)、汕頭(すわとう)刺繍、蘇州(そしゅう)刺繍などが最近は人気。
⑦型染
生地を染める際に型紙などを用いて染める方法。代表的なものに、江戸小紋、更紗、紅型などがあり、人気も高い。
⑧ろうけつ染
溶かした蝋を筆で生地に塗った後に染める方法で、蝋を塗った部分は白くなったり、蝋のひび割れを利用して模様にしたりする。
⑨友禅染
京友禅、加賀友禅、江戸友禅が有名。糸目と呼ばれる輪郭線を糊で描いた後色付けし、最後にこの糊を洗い流すとできる白い輪郭線が特徴。手書き友禅は分業で多くの職人が関わっており高価なものが多い。
⑩絞り染め
白く抜く部分を縛ったり、器具で挟んだりして柄付けする染め方。生地にシボによる凹凸ができます。鹿の子や、有松鳴海絞りなどが有名。
応用編
最後に前回と今回の2講座のまとめの応用編です。実際に売っている帯を見て、柄や技法を確認してみましょう。
柄は華紋繋ぎ(古典柄・正倉院文様)、袋帯で柄付けは六通。ポリエステルなので特に技法はありませんが、織の帯です。
②江戸紅型の名古屋帯
柄は花唐草、九寸名古屋帯で柄付けは全通だと思います。塩瀬の帯で型染(江戸紅型)。
さいごに
いかがでしたか?何の知識もない時に見る商品と、自分で知識をつけてから見る商品はずいぶんと景色が異なっていると思います。お店で買う時、ネットで買う時、ただ可愛い!という直感も大切ですが、少し自分で調べられると失敗も減りますよ。
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