こんにちは!合理的でわかりやすいを目指すいまどき着物講座です。
第4講座は、着物の衣替え
新型コロナの影響で9月入学が話題になったとき、実は着物好き界隈が大騒ぎになっていました。
一体9月入学の何が問題だったのでしょう?実は9月は着物の衣替えの季節。そしてこの衣替えは、着物を着る時に頭を悩ます問題の1つなんです。
今回はそんな着物の衣替えについて学んでいきます。
着物の季節は3シーズン
洋服に半袖や長袖かあるように、着物も季節によって着るものが異なっているのです。そしてその衣替えの季節は洋服よりも厳密で、○月という暦で区切られています。
着物の季節は3シーズンあります。
①袷(あわせ)
着物全体に裏地がついています。1番厚手なので秋〜春に着用します。特に、裾の裏側(八掛はっかけ)は着用している時にも見えるので、判断しやすいです。
【着用時期】10月〜5月
②単衣(ひとえ)
着物全体に裏地がなく、裾の裏側にも八掛がありません。洋服でいうと七分袖のようなもので初夏と初秋に着用します。
【着用時期】6月・9月
③夏物(なつもの)・薄物(うすもの)
透け感のある生地で仕立てられたシースルーの着物です。盛夏に着用します。裏地はなく、下に着た長襦袢が見えています。
【着用時期】7月・8月
暑すぎる現在の日本
ここで終われば、頭を悩ますことはありません。どうして原則通りにいかないかといえば、今の日本は暑すぎるのです。5月や10月に真夏日となる日も珍しくありません。
5月や10月は、着物では冬物である袷の季節です。30度を超える日に袷を着ていれば、汗だくで済めばともかく、熱中症になったりでもしたら笑い話ではすみません。(汗だくだって正絹の着物には致命的ですが。。)
洋服ではその日の気温に合わせて長袖・半袖を着分けていますよね。だから着物も気温によって着分ける習慣が少しずつ出てきました。
この気温に合わせる派と、暦通りの原理主義派の意見の衝突により、着物の衣替えが複雑な問題となっています。
でも結局は間をとるのが1番いいと私は思うのです。洋服だって、寒いからといって5月にモヘアのニットを着たり、暑いからと10月に麻のシャツを着てたら少し違和感がありますよね。だからある程度の季節感は必要だし、健康に害がない程度に気温に合わせるのがいいのではないでしょうか。
いまどき着物の衣替え
さて、たくさんのサイトを見比べて、いまどき着物的衣替え表を作ってみました。
〜3月
問答無用で袷
4月
前半…袷
後半…袷がベース
25℃を超える日は単衣
※袷と単衣の境は23℃が主流ですが、先取りすぎるので夏日目安にしました
5月
単衣がベース
23℃下回る場合は袷
※30℃を超える日もありますが、さすがに本来は袷の季節、5月に夏物は抵抗勢力が強そうです。インナーで調整するなど基本単衣で乗り切るのが良さそう。
6月
前半…単衣がベース
30℃超える日は夏物も
後半…夏物がベース
涼しければ単衣
※夏物は透け感が様々で、透け感の薄い物が望ましいです。
7月&8月
夏物
9月
前半…夏物
涼しければ単衣に
後半…単衣
10月
前半…袷がベース
25度超えるなら単衣
後半…袷
11月〜
問答無用で袷
肝心なのは自分の意思
と、ここまでまとめましたが、きっとこれも賛否あると思います。どちらかというと気候重視で攻めているほうだと思います。合理主義だし。
ただ1つ言えることは、最後に決めるのは自分自身。着物警察に季節を指摘されたとき、「そうですね、でも今日は暑いので」と自信を持って答えられれば良いのです。
実はまだある!衣替えルール
さて、始めの9月入学の問題に戻ります。つまり9月の前半だろうから、夏物ならいいのかなと思いました?
違うんですね。。まだまだ衣替えルールはあるのです。
①冠婚葬祭やお茶会などは厳密ルール
今のところ改まった席では、暦による衣替えルールが尊重されると言われています。入学式も9月なら単衣と言いたいところですが、やっぱり暑さは厳しそう…
②小物にも衣替えがある
衣替えがあるのは、着物だけではありません。帯も、長襦袢も、帯揚げも、すべて衣替えが存在します。そして組み合わせも難しい…。今回は情報量が多過ぎるので今後に持ち越したいと思います。
③遅れるよりは先取りが吉
季節にうるさい着物ですが、先取りするのはまだ大目に見てもらえるようです。逆にいつまでも前の時期を引きずっていると、野暮と言われるそうな…(一体誰に?)
④色や柄も衣替え
さらに着物の素材だけでなく、色や柄も季節に関わってきます。これはまた着物の柄の回で。
さいごに
いかがでしたか?ほんと衣替えて面倒くさいですよね。。でも慣れてくれば自分のやり方も何となく見えてくるもの。どんどん着物で出掛けることで、自分のスタイルを見つけましょう。