いまどき着物講座

30代から始める合理的でわかりやすい着物

【第12講座】着物と帯のコーディネート

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こんにちは!合理的でわかりやすいを目指すいまどき着物講座です。

 

第12講座は着物と帯のコーディネート

ついに全11回に及んだ【着物を買う前に】編も最後です。もう自分の欲しい着物はイメージできたでしょうか?でもちょっと待って。どうせ買うなら、しっかりコーディネートもしたいですよね。


お洒落と感じるのは人それぞれ。とはいえ、着物ならではのルールはあります。今回は買う前に知っておきたい、着物コーディネートの基本をご紹介します。

 


1.格言から学ぶコーディネート

まずは着物界隈でよく聞くところから。

①着物1つに帯3本

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着物のコーディネートといえば、まずはこれ。同じ着物でも印象の違う帯を合わせると、コーディネートの幅が広がるよと言われています。でも初心者に都合よく言い換えれば、あまり着物の枚数を持てなくても、とりあえず帯だけ変えておけば「基本は押さえてますよ」という顔が出来るわけです。


②染めの着物に織の帯

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その次に出てくる着物といえばがコレ。染めの着物には織の帯を、逆に織の着物には染めの帯を組み合わせるというもの。でもどちらかと言うと「と、昔はよく言った」程度になっています。染めの着物である江戸小紋に型染の帯など、よく見るコーディネートですよ。


③モノトーンの帯が1本あると便利

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よく着付教室の先生が言っていた、ある意味格言。

着物のコーディネートは色と色の組み合わせ勝負。よく同系色とか反対色とか明度とかあって、色同士の相性があるわけです。そして、どんな色も彩度がなくなるとモノトーンになります。

ざっくり説明ですみませんが、要はモノトーンなら大体どんな着物にも合うということ。だから黒・白・グレーいずれかの帯を1本持っておくと結構どんな着物にも合ってくれるので、初心者にはおすすめです。


2.切り口別コーディネート論

続いては、それぞれの切り口によるコーディネートのお話。でも全部これに従ったら全然好きな物を選べませんよ。とりあえず前提として知っておき、あくまでファッション、好きなものを選んでください!


①コーディネートの基本

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とりあえず、まず何を基準に着物と帯を組み合わせるのかといえば。ちなみにコーディネートに締める割合は、着物70%、帯25%、小物5%と言われています。

 

・着物と帯を同系色の濃淡にする

・着物の中の一色を帯に持ってくる

・着物と帯を反対色などコントラストをつける


他にも柄の組み合わせで意味を作ったりします。

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②体型によるコーディネート

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続いて体型別で一般的におすすめとされるもの。 あくまで一般論に。


・太めで背が高い  

大きすぎる柄は太って見える。地色は濃い色のほうが引き締まって見える。帯は反対色でコントラストをつけたほうがメリハリがある。


・太めで背が低い

立ち柄や小さい柄がよい。帯は地色の同系色で体を区切って見せないほうがよい。


・やせていて背が高め

地色は白や薄色や暖色がよい。大柄や横柄、飛び柄が映える。帯は反対色でコントラストを。


・やせていて背が低め

地色は白や薄い色が向き、黒や紺は避けたほうがよい。斜め柄が特によい。帯は同系色で体を区切らない。


③季節によるコーディネート

続いては季節による色味の話。暑苦しい色合いとか、寒々しいとか。柄の季節もあるのに…。


・春…パステルカラーや淡い色

・夏…青、モノトーンや寒色系

・秋…深い赤や深緑、茶色など紅葉色

・冬…白っぽい色や華やかな色


④パーソナルカラーによるコーディネート

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最後に。パーソナルカラーってご存知ですか?簡単にいうと、自分の顔色が映える色のことです。ざっくり言うと、春・秋タイプはイエローベース、夏・冬タイプはブルーベースの色が似合うとされています。

着物はやはり圧倒的に生地なので、パーソナルカラーは押さえておきたいところ。私もプロに見てもらいました。

とはいえ私はビビッドウィンターといって、原色の赤とか青とかが似合うタイプ。着物にそれはちょっと無理で…。それでも出来るだけブルーベースのものを選ぶようにしています。顔まわりの小物の色で調整できたりもするので、知っておくと便利ですよ。


さいごに

いかがでしたか?そうそう、そもそも着物は格が命。コーディネートの前に、格が合っているがの確認は怠らないでくださいね。

さて全11回いかがでしたか?これだけ基本を知ったら、もう着物も怖くないのでは?ぜひ皆さんに合った素敵な1枚を見つけてくださいね。

 

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【第11講座】着付の小物あれこれ

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こんにちは!合理的でわかりやすいを目指すいまどき着物講座です。


第11講座は着付の小物あれこれ

前回「着物」の小物あれこれで後回しになってしまった「着付」の小物の話もしないわけにはいきません!せっかくなら着物を買うときにオマケで付けてもらうなり、送料無料で購入したいですもんね。


そんなわけで、地味だけど奥が深い着付小物についてご紹介します。

 

 
着付小物は人による

まず最初に知っておいてほしいことです。定番の着付小物はもちろんありますが、実は細かいところでは人により使う小物は様々。なぜなら着物の着方が全然違うんですよね。

私は今まで3カ所の着付講座に通ったことがありますが、それぞれ着方は3様で、使う小物も違っていました。YouTubeで色々な方の着付を見ても、使ってる小物は様々です。

だからもし着付教室に通おうと思ったら、自分はどんな小物や手順で着たいのか、しっかり擦り合わせて選ぶことが大切です。


定番の着付小物

まずはどんな着方でも大抵使う定番小物から。フリー画像がなかなか揃えられなかったので、広告画像ですみません。。。

 

①和装ブラ

着物用の「寄せない上げないブラ」。これは着物を着た時に帯の上に胸が乗っているという、ものすごくダサい状態を避けるために必要。

普段から着物を着る方はブラトップで上手に着られたりするが、初心者や礼装などきちんとした時には絶対必要な物。

胸の大きい方やかぶれやすい方は、サラシを巻く場合も。

 

肌襦袢・裾よけ

長襦袢の下に着るスリップのようなもの。基本は上半身に肌襦袢、下半身に裾よけを着用する。それ以外にもワンピースタイプや、キャミソールとステテコで代用する場合も。

要は汗を取り、長襦袢や着物の裾さばきをスムーズに出来れば問題ないけど、機能としては何かしら着用してねと。

 

③衿芯

長襦袢の衿にいれて、衿元をシャキッとさせる。素材はプラスチックや夏はメッシュのものも。

 

④腰紐

どんな着方をするかにもよるが、5本はあったほうが無難。素材は色々あるがモスリンが定番。

 

⑤伊達締め

腰紐で縛った上から、着付をさらに固定させるために使う太い紐。長襦用と着物用で2本必要。博多織や、マジックテープなど種類は様々。個人的には、脇がゴムになっているシャーリングタイプはおはしょりの調整が出来るので1本あると便利。

 

⑥帯板

シワが出ないよう帯に挟むもの。ベルトが付いたタイプは長襦袢の上に付けておくため、帯を結ぶ時に手が離れるので着付がラク。ベルトがないものは帯の間に挟むため仕上がりがより綺麗。お好みで。

 

⑦帯枕

お太鼓を作るのに必要。大きさが細かく分かれていて、華やかな場や若者は大きめ、年齢が高くなるほどボリューム控えめが好ましい。

初心者はあまり柔らかすぎる素材より少し硬めのほうがいいかなと。体に縛りつけるので、1.5mほどのガーゼで巻いて使う。

 

⑧補正グッズ

着物を綺麗に着るために絶対に欠かせないのが補正。着物は直線の布で作ったものなので、着る側も直線=寸胴にしなければシワだらけに。そこで補正グッズが必要です。

補正が必要な場所は、主には鎖骨回りと腰回り。基本は手拭いとタオルでOK。便利グッズとして、ベルト付きパッドなどがある。

 

⑨着付クリップ

着物に跡が残りにくいクリップ。人に着せる場合は必須だが、自分で着る場合は洗濯バサミでもなんとかなる。1つあると無難。


便利グッズな小物達

続いては、少しでも手軽に着れるように進化してきた便利グッズ。もちろん全部揃える必要はなく、今後の参考まで。今回はメジャーなものを。

 

コーリンベルト

着物を着るときに、胸紐替わりに使う。衿元をクリップで留めるので、衿が着崩れにくい。

 

②ウエストベルト

着物を着る時に、腰紐替わりに使う。腰紐がしっかり結べない初心者や、伸縮するので食事の時にオススメ。

 

③マジックベルト

伊達締めの1つで、マジックテープで留めるタイプ。裏が滑りにくい素材なので着崩れにくいが、蒸れやすいのが難点。

 

④枠付き帯枕

帯枕の下に四角い枠がついたもの。先に帯の形を作ってから背中に付けるので、変わった帯結びを自分で着るときや、事前に用意しておいて急いで着たい時、着崩れが心配なときなどに便利。初心者にも便利だが、スタンダードではないので、手結びがやりたい人には不要。

 

⑤帯止め金具・お太鼓止め

帯を縛ったり紐で押さえたりしなくても結べる便利グッズ。種類は幾つかある。私はマネークリップのような形のものを使っています。

 

⑥2重仮紐・3重仮紐

振袖など変わり結びなどに使うことが多いので基本は不要。ただ半幅帯にはよく使うので、半幅帯で着たい場合は1本あると出来る結び方が増える。


ピンク?白?どっちがいいの

そういえば着付け小物ってだいたい白か薄ピンクです。どっちを買おうか悩みますよね。留袖など礼装には白です。でもそれ以外は調べても、明確な答えは見つかりませんでした。なので、留袖の着用予定がなければ本当にお好きでよさそう。でも真っ白の着物を着たい方は透ける可能性があるので、白のほうがいいかな~。夏帯も透ける場合があるので、夏の帯枕は白がいいかも。という程度です。

さいごに

いかがでしたか?着付教室によっては最初に様々な便利グッズを購入させられることもあります。私は気にせず選んだ結果、枠付き帯枕を使うレッスンで後悔したことがあります。。私のように失敗しないために、you tubeなど見て、自分はどんな着方をしたいか少しイメージしてみるといいですよ。

 

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【第10講座】着物の小物あれこれ

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こんにちは!合理的でわかりやすいを目指すいまどき着物講座です。


第10講座は着物の小物あれこれ

着物と帯は大体わかったけれど、では早速着てみましょうとはいきません。

 

着物には欠かせないのが、様々な小物達。今回は着物に関する小物のうち、表面から見える装飾小物について学んでいきます。

 

 
長襦袢あれこれ

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まずは肝心の長襦袢(ながじゅばん)から。着物の下に着る物で、下着である肌襦袢とは別物です。袖の後ろ側から見えたり、夏着物のときは透けて丸見えなので意外と重要。長襦袢をきちんと着れるかどうかで、衣紋の抜けや着付の仕上がりも変わります。


①サイズ

着物と違いおはしょりを取らないので身長に合ったものを。身幅が足りないと衿元が崩れやすい。また裄や袖丈は着物のサイズに合わせるのがベストだが、合わない場合は対策が必要。いつか詳しく書きますが、急ぎ必要な場合はググってみて下さい。


②仕様

基本は一部式といって、着物と同じように上から下まで繋がったもの。一方で、二部式といって上半身と下半身に分かれたものも。下半身と別なので衿元が崩れにくい、丈の調整が出来るなどのメリットが。また「うそつき」と言う、衿元と袖という長襦袢に必要な機能だけ残した便利グッズもあり、頻繁に着物を着る人には人気。

とりあえず初心者は、まずは基本の一部式で。好みが出てきたら自分に合ったものを選びましょう。


③素材

素材は正絹、化繊、綿、麻など。当然洗えるもの、洗えないものも。正絹のほうが着心地や足捌きがよく、化繊は静電気がおきやすいとか。二部式だと上半身が洗える綿、下半身が正絹というミックスタイプも。


④色柄

長襦袢には着物と同じくらい色柄が。留袖と喪服には白のみ、訪問着や色無地など略礼装には淡い色か白。それ以外は着物と合わせてお洒落的にカラーコーディネート可能。

柄も絵や地紋など様々だが、着物の柄と同様、喪に吉祥柄を避けるなど基本を押さえ、どんな柄かは認識はしておきましょう。


⑤季節

そう、長襦袢にも衣替えが。原則は袷・単衣・夏物の3種類。ただ現在は、袖無双・単衣・夏物の3種類が一般的に。

単衣は裏地なし、夏物は絽や麻など透け感のあるもの。袷は全体的に裏地があるものだが、昨今の暖房事情等により、ちょっと暑すぎだよねと。そこで袖のみ袷にしたものを袖無双という。胴回りは単衣(胴抜き)で、お尻のところに破れ防止布(居敷当て)がついてる場合も。

着用期間は大体着物と同じだが、インナーなので気温と体感により正直に。ただ夏物を6月より前に着る時は半襟だけ冬物にする、など見た目は季節合わせを。最近では通年麻の襦袢を着る人や、着用期間の長い東レの爽竹が人気。


着物の装飾小物9つ

長襦袢の説明が長すぎですが、その他にも必要な小物をさらっと。

 

半衿

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長襦袢の衿に付ける。基本的に最近販売されている長襦袢には、デフォルトで1枚縫いつけられているので問題なし。必要に応じ、汚れ防止やお洒落としてさらにその上に色柄物を縫いつける。生地による季節感はあるものの、とりあえず夏は絽、それ以外は塩瀬が無難。 


②伊達衿・重ね衿

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振袖や訪問着など華やかに着たい場合に、着物の衿から少し覗かせるもの。似ているが半衿とは異なる。最近は1つで何通りも着用できるタイプのものも。

 

帯揚

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こちらも夏物(絽・紗等)とそれ以外(綸子・縮緬・絞り等)の2種類。衣替えの原則は「春単衣は小物から帯、秋単衣は帯から小物」と言われるが、加減がわからないうちは夏帯には夏小物、それ以外は冬小物、と帯に合わせるのが無難。

コーディネートの差し色に特に重要。礼装には白や淡い色を。


帯締め

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単にお洒落ではなく、実は帯の結びを押さえる機能的に重要なもの。こちらも夏物とそれ以外で、帯揚げと季節を合わせて。また三分紐など通年使えるものも。平らで幅広のもの(平組)ほど格が高い。


帯留

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こちらは単にお洒落用。三分紐や細めの丸組に使うカジュアルなものに合わせるのが一般的。極一部フォーマルに使われる事もあるが、文句なしの宝石等上級者向け。


⑥足袋

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素材もあれば、なんと踵の金具の数で格も変わるとか。まずはとりあえず極一般的な白で。

 

⑦草履

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草履にもなんと衣替えが!でもとりあえず、礼装用とそれ以外くらいの認識で大丈夫。とりあえず外に出る時までにあればいいので、また別記事で。

 

⑧カバン

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こちらも礼装用とそれ以外。洋服との兼用もあまり気にせず。ただ定番のカゴバッグは冬は使わないのでお気をつけて(私はファーをつけて使ってますが…)。

 

⑨羽織・道中着・コート

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実は外出するとき欠かせないのが着物の上の羽織物。街で着物を着ている先輩方を注意して見ると、実は必ず何か羽織っています。着物の汚れや帯の日焼け防止のほか、初心者には帯隠しの有難い役割も。季節感もあるのでまた後日詳しく。


着付けに必要な小物

着付け小物も欠かせません。が、着付け方法により必要なものも様々。こちらは着付け小物の回にて。


さいごに

いかがでしたか?小物だけでもこんなにあるんですよ…。どれも細かく説明すれば、それだけで何講座もできるほどに奥深く、まだまだ私も勉強中です。

【第9講座】帯の柄と技法

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こんにちは!合理的でわかりやすいを目指すいまどき着物講座です。


第9講座は帯の柄と技法

前々回の着物の柄の回で、柄の季節や意味などを学びました。基本的に帯の柄もそこは同じです。でも着物は化繊を推している私ですが、実は帯はほとんど正絹を使っています。というのも着物ほどは着用時に汚れるものではなく、また化繊となるとデザインがかなり限られているためです。


機械で織り上げる化繊と違い、正絹の帯となると気にする必要がでてくるのが技法による帯の見分け方です。同じ花の柄でも、技法によって印象が全く変わります。今回は帯の柄付けと、スタンダードな技法をご紹介します。

 

帯の柄付け

前回帯の種類を学びましたが、柄付けでも帯を分類しています。柄付けは袋帯名古屋帯に共通です。着物を選ぶ際にこだわる必要はありませんが、着付方法が少し変わるので理解は必要です。

①全通(ぜんつう)

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帯の端から端まで全て柄付けされている帯。柄の場所が制限されないので様々な結び方が出来たり、多少汚れても汚れを避けて結ぶなど工夫できる。ただ全体的に柄布が必要で割高になるため、最近は少ない傾向。


②六通(ろくつう)

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手先とタレの間4割ほどが無地の布になっている(つまり柄部分が6割のため6通)。柄が始まる場所を目印に着付できるのでお手軽。いまは最も多いタイプ。


③お太鼓柄・ポイント柄

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お腹部分やお太鼓等だけに柄があるもの。柄が正しい場所に来るよう着付の際注意する必要がある。また結び方もお太鼓系に限られる。


帯の技法

そしてその帯をどのようにして作ったかが技法です。こちらもたくさんありますが、今回は私が独断で選んだ、ネットショップやフリマサイトでよく見る技法10選です。

※一部着物で使われているものもあります。

 

①博多織 

前回通年使える帯として紹介した博多織。その名の通り産地は博多です。特に献上柄という独鈷と華皿、縞を組み合わせた柄で有名。八寸名古屋帯に多いです。また男帯(角帯)や伊達締めにも。


西陣

日本一生産量が多いとされる、京都西陣を産地とする帯。金糸を使った礼装用から日常の名古屋帯まで様々。


佐賀錦

金銀泊を和紙に貼って切った糸を使って織った帯。華やかな礼装用の帯が主で、バッグなど小物にも用いられる。


縮緬

織の着物の回でも紹介した生地の織り方の1つ。実際には縮緬の生地に何かしらの染めの技法で柄付けしたものが多い。シボに暖かみを感じるため秋冬用とされる。


⑤塩瀬

糸と糸の隙間が小さくサラリとした手触りの生地。羽二重の一種。刺繍や手書きなどで柄付けされたものが多い。九寸名古屋帯だが比較的涼しげな見た目から、5月や9月の暖かい時期でも着用できるので便利。夏物として絽塩瀬もある。


⑥刺繍

様々な生地の帯に刺繍が施されたもの。相良刺繍(さがら)、汕頭(すわとう)刺繍、蘇州(そしゅう)刺繍などが最近は人気。


⑦型染

生地を染める際に型紙などを用いて染める方法。代表的なものに、江戸小紋、更紗、紅型などがあり、人気も高い。


⑧ろうけつ染

溶かした蝋を筆で生地に塗った後に染める方法で、蝋を塗った部分は白くなったり、蝋のひび割れを利用して模様にしたりする。


友禅染

京友禅加賀友禅、江戸友禅が有名。糸目と呼ばれる輪郭線を糊で描いた後色付けし、最後にこの糊を洗い流すとできる白い輪郭線が特徴。手書き友禅は分業で多くの職人が関わっており高価なものが多い。


絞り染め

白く抜く部分を縛ったり、器具で挟んだりして柄付けする染め方。生地にシボによる凹凸ができます。鹿の子や、有松鳴海絞りなどが有名。

 

応用編

最後に前回と今回の2講座のまとめの応用編です。実際に売っている帯を見て、柄や技法を確認してみましょう。

東レシルックの袋帯

柄は華紋繋ぎ(古典柄・正倉院文様)、袋帯で柄付けは六通。ポリエステルなので特に技法はありませんが、織の帯です。

 

 ②江戸紅型の名古屋帯

柄は花唐草、九寸名古屋帯で柄付けは全通だと思います。塩瀬の帯で型染(江戸紅型)。

 

さいごに

いかがでしたか?何の知識もない時に見る商品と、自分で知識をつけてから見る商品はずいぶんと景色が異なっていると思います。お店で買う時、ネットで買う時、ただ可愛い!という直感も大切ですが、少し自分で調べられると失敗も減りますよ。

 

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【第8講座】帯の種類と格

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こんにちは!合理的でわかりやすいを目指すいまどき着物講座です。  


第8講座は帯の種類と格

前回までで着物についてだいぶ理解できたと思います。ここからは着物と対をなす主役の帯の話を。


よく「着物1枚に帯3本」と言われるように、実は着物コーディネートの要となるのは帯なんです。今回は種類・格・季節の3軸を説明します。

 

 
帯の種類

まずは帯の種類から。帯の種類と格は微妙に一致しないので注意しましょう。

1.丸帯

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昔の帯で、現在では花嫁や芸者さんなどが使う程度です。でも祖母の着物を貰ったり、リサイクル店では目にすることも。幅70cmの布を縦半分に折り片側だけを縫うので、裏表同じ柄なのが特徴です。また帯幅は33cm前後で少し広め、長さは4m前後で袋帯よりも短めです。


2.袋帯

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表布と裏布を縫い合わせて、袋状になった帯です。長さは4m20cm以上で二重太鼓に結べることが最大の特徴です。幅は個人の好みもありますが、31cm前後。さらに袋帯は3種類に分けられます。

①礼装用袋帯

留袖や訪問着など、正装をする場合に着用します。金糸や銀糸が用いられている華やかな織の帯です。主に二重太鼓に。

②洒落袋

袋帯ですが、礼装ではなく普段着に着用します。金糸等はほとんどなく、柄は様々。こちらも長さがあるので二重太鼓や角出しなど。

③京袋帯

一応袋帯なのでここに記載していますが、実際は名古屋帯と同じです。長さも3m80cm前後で二重太鼓には出来ません。名古屋帯と同じように結び、こちらも普段着に。

 

3.名古屋帯

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普段着に着用するなら名古屋帯です。

幅は好みもありますが30cm前後、長さは3m50cm〜80cmくらいです。見た目は仕立て方により、名古屋仕立て(お太鼓部分以外は半分折り)、松葉仕立て(手先だけ半分折り)、開き仕立て(帯幅そのまま)がありますが好みの問題なので初心者はあまり気にする必要はありません。肝心なのは名古屋帯は2種類に分けられるということです。

 ①九寸名古屋帯

九寸幅の布の両端を折り込み、帯芯または裏布と縫い合わせた帯です。完成品の幅は八寸名古屋と変わらず、材料の幅の問題です。織、染め両方の帯があります。また金糸銀糸を使ったものは、付下げや色無地など略礼装にも使えます。

②八寸名古屋帯

あらかじめ八寸幅に織った布をそのまま使って作られた帯です。そのため基本的に織の帯が多いです。芯はいれず、裏布もないので単帯(ひとえおび)とも。袋名古屋とも言われます。

 

4.半幅帯

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帯幅が名古屋帯の半分16cm前後で、長さは様々ですが4m前後のものが多い。浴衣によく利用しますが、小紋でも問題なく利用できます。種類は2種類です。

①小袋帯

2枚の布を合わせた袋状の帯でリバーシブルに利用できます。

②単衣帯

裏布がない、主に織の帯。薄手になるので特に浴衣をはじめ夏に重宝します。

 
帯の格

続いて帯の格を。基本的には着物とは逆で、染め帯よりも織の帯のほうが格が高いとされます。また金糸銀糸を使った礼装用の名古屋帯は、袋帯より格は下がりますが、付下げや色無地を中心に着用可能です。

 
丸帯>礼装用袋帯>礼装用名古屋帯

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洒落袋≧京袋≧九寸名古屋帯>八寸名古屋>半幅帯

    

帯の衣替え

着物といえば衣替え。実は着物より複雑です。とはいえこれは目安で、実際の暑さや体調に合わせて選びましょう。

基本ルール

帯を季節で分けると、通年使えるもの・夏のみ・それ以外の3種類になります。帯の種類ではなく、織り方で分けられています。また帯締めなどの小物は、厳密には幾つかルールがあるものの、とりあえず帯の季節に合わせて夏帯には夏物を、それ以外には冬物を使っておけば問題ありません。

通年帯

半幅帯は通年着用可能です。私は衣替えに悩んだ時は半幅帯に逃げることもあります。

また、博多織の八寸名古屋帯(特に献上柄)は通年OKと言われています。ただ実際は夏には暑いため、夏は紗(夏物)の博多帯を使う場合もあります。

 夏帯

夏帯の見分け方はずばり透け感です。絽<紗<羅となり、羅は盛夏(7・8月)のみ着用可能です。また麻帯も基本的には盛夏ですが、見た目が透けすぎないものは前倒しも。夏帯も袋帯から八寸名古屋まで種類は同じです。

 スリーシーズン帯

夏帯以外は、スリーシーズン帯や冬物と呼ばれます。スリーシーズン帯とは言え、実際には季節や着物との組み合わせで着用時期が限られるものも。また季節先取りの精神から、夏単衣には夏帯を、秋単衣には冬物の帯を合わせます。夏単衣の夏帯は、時期が早いほど透け感の少ないものを選びます。

着物と帯の組み合わせ

①礼装用袋帯

袷・単衣→スリーシーズン帯

     6月のみ単衣に夏帯

夏物→夏帯

②洒落袋・京袋・名古屋帯

袷→袋帯、九寸、八寸どれでも可能

単衣→八寸、薄手の袋帯・九寸

   5月下旬〜透け感ない夏帯も可

   6月は夏帯

夏物→夏帯(羅は7・8月のみ)

 

さいごに

いかかでしたか?今回は種類・格・季節と3つの切り口を説明しました。少しずつ軸が違うのでわかりにくいですが、しっかり整理しておきましょう。

【第7講座】着物の柄と季節

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こんにちは!合理的でわかりやすいを目指すいまどき着物講座です。


第7講座は着物の柄と季節

洋服では最も馴染みのない着物文化、それが柄による季節感だと思います。


例えば桜の柄の着物。いつ着れるでしょう?やっぱり春かな、なんて思いますよね。でも違うのです。

・リアルな桜の木→早春〜桜の咲き始め

・リアルな桜と桜吹雪→咲き始め〜満開

・花びらのみやイラスト→通年


うん、実に面倒くさいですね。これこそが着物の素晴らしさであり、醍醐味とも言えますがそれはまだ先の話。初心者には高いハードルです。うっかり短期間しか着れない着物を買わないよう、しっかり押さえておきましょう。今回はわかりやすいよう図柄多めで!

 
柄選びの基本ルール

まずは柄選びの主なルールを5つ紹介します。

 ①季節は先取りが基本

植物など季節物は、まさにそのシーズンになる少し前に着用するのが粋とされます。クリスマスの柄などはまさにその日まで可能ですが、遅れるのはNG。

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②季節限定は実は極一部

散々煽っておきながら、実は季節に注意しなければならない柄は動植物や行事物などの極一部。幾何学文様など、通年着れる柄のほうが多いのです。

■その季節にしか着れない柄

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蒲公英(たんぽぽ)、紫陽花、秋の吹寄せ、雪持南天

 

■推奨の時期はあるけど通年着れる柄

まさにその季節はもちろん、通年も着用できる柄です。また雪柄を夏に着用することで冷涼感を表すという逆張りのパターンもあります。

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 松、雪花(せっか)

 

■季節感なく通年着用できる柄

パターン模様などは季節関係なく着用できる柄の代表例。

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豆絞り、矢絣(やがすり)


③抽象的なら動植物でも通年OK

動植物でも、絵の種類によって時期か通年か変わります。枝や葉が詳細に描かれた写実的なものはその時期のみの着用です。一方、抽象化やイラスト化されたものは通年着られることが多いです。桜、梅、椿、トンボなどがあります。ちなみに蝶は通年可能です。

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④組み合わせで変わる季節

また、柄の組み合わせで着用できる季節が変わるものもあります。

■組み合わせで通年可能

植物でも、松竹梅や四季の草花を集めたもの、桜と紅葉がセットなど複数の季節のものがまとめて描かれているものは通年着用できます。

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四季の草花、桜と紅葉

 

■組み合わせで季節限定 

一方、兎や月は単体では通年着用可能ですが、一緒に描かれると中秋の名月として8月後半から9月となります。

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 兎、月に兎、流水、龍田川(紅葉+流水)

⑤柄による格の違い

現代柄よりも古典柄のほうが格が高くなります。

また柄の付け方として、総柄よりも飛び柄のほうが格が高くなります。

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分類別から見る着物の柄

それではどどんと、柄を見ていきましょう。ちなみに柄は、着物用語では文様(もんよう)と言います。ご紹介する文様は、特に推奨の季節があるものもあれど、全て通年着用可能なものだけをご用意しました!季節感は帯留めなど小物で幾らでも出せますから、着物本体は合理的にいきましょう。

今回は文様の歴史で分けたものと、柄そのもので分けた2軸で紹介します。


【1】現代柄と古典柄

まずはその柄の歴史で分けたものから。現代柄はここ最近の、古典柄は中国や日本古来の伝統的な柄を指します。古典柄のほうが格が高く礼装にもよく用いられます。古典柄にはさらに、特に代表するものとして、正倉院文様(しょうそういん)、有職文様(ゆうそく)、吉祥文様(きっしょう)等があります。


■現代柄

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■古典柄
正倉院文様…奈良正倉院の貯蔵品に起因するペルシア風の柄

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鳳凰、蜀江(しょっこう)


有職文様平安時代の貴族の衣装などに起因する柄

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七宝(しちほう)、亀甲、向い蝶、立涌(たてわく)


吉祥文様…中国や日本古来のおめでたい柄

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松竹梅、オシドリ、御所車(ごしょぐるま)、宝尽くし


【2】文様別の代表柄

柄そのもので分類する方法です。直観的にわかりやすいですね。

幾何学文様…パターン化した文様が続いています。

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紗綾形(さやがた)、市松、麻の葉、青海波(せいがいは)

 

■天象文様…雪輪、雲、霞、雨等空に関わる文様

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雲取り、雪輪、エ霞(えがすみ)、大小霰(だいしょうあられ)

 

■植物文様…実際にある植物から、辻が花のような架空の植物も。

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万寿菊、露芝(つゆしば)、辻が花、四君子(しくんし、梅竹菊蘭)

 

■動物文様…こちらも実際の動物や昆虫から、空想の動物まで。

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千鳥格子、鶴亀、蝶、鳥獣戯画

 

■自然風景文様…茶屋辻などの建物を含んだ風景や水の流れなど。

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山水、観世水(かんぜみず)

 

■器物文様…茶器、道具、装飾品等の物を表した文様

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貝合わせ、ひょうたん

 

■物語人物文様伊勢物語源氏物語等に起因する柄や童などの人物。

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源氏香(げんじこう)、童


さいごに

いかがでしたか?この回だけでも実に50種類以上の柄を紹介しましたが…ほんとに極々一部。奥が深いです。。でも通年着れる柄がこんなにあるなら少し安心ですよね。恐れずお気に入りの文様を見つけてみてください。

【第6講座】着物のサイズ

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こんにちは!合理的でわかりやすいを目指すいまどき着物講座です。


第6講座は着物のサイズ

皆さんは洋服の袖の長さって、買うときに気にしたことありますか?試着して確認することはあっても、cmで答えられる人はなかなかいないのでは?

 
でも着物を着てる人に袖の長さを聞くと、99%即答すると思います。実は着物はサイズがとても重要です。サイズが合わないと、着にくい、着崩れる、そもそも着られないかも…

 
着物女子への第一歩、自分のサイズをしっかり確認しておきましょう。

 

 
チェックすべきは6項目

細かくみていくと着物の様々な名称にサイズがついて回るのですが、基本的にチェックすべき場所はこの6つです。

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①身丈

肩から裾までの長さで、身長±5cmまでOK。これを越えると、おはしょりが短すぎたり長すぎたり。ただ技術があれば±10cmまではいけるそう。


②裄(ゆき)

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首の付け根の中心から、肩先を通り手首のくるぶしまでの長さ。±2cmくらいまで可能。

また長襦袢との兼ね合いも。2分(0.75cm)ほど長いとベストで、長襦袢が長すぎる場合は中で縫ったり、短すぎる場合は袖の後ろから飛び出さないように工夫が必要。


③袖丈

基本的には49cm(1尺3寸)。未婚なら少し長め、フォーマルなら少し長めでも。また身長により多少の長短はお好みです。アンティークだと極端にの短いものがあり、その場合長襦袢の袖の長さにも注意。


④後幅⑤前幅

この2つを合わせて「前幅+後幅+後幅+15cm=ヒップサイズ」です。この15cmは、前幅の横のおくみの長さなので、これでちょうとヒップ1周分です。

少し大きい分には大丈夫ですが、小さい場合ははだけやすくなるので工夫が必要です。

 

⑥繰越し

簡単にいうと衣紋を抜くための後ろ襟の付ける場所。あまりサイズでは一般的ではないのですが、着付教室でへぇと思ったポイントの1つなので。

繰越しは7〜8分くらいが標準ですが、昔のものだと5分くらいのものも。ここが浅いと衣紋が抜きにくいそうです。私が通っていた着付教室は仕立てるときは8分で、抜きやすいのがアピールポイントでした。測り方も難しいので調べにくいですが、プロから買うときは確認してみてもいいかもしれません。


買うときにはどうしたら?

仕立てるとき

お店なら実際測ってもらえますし、ネットでも身長・裄・ヒップを伝えればプロが算出してくれます。ざっと①〜⑥のポイントとズレていないか、こっそり確認しておきましょう。

 

 既製品やリサイクルなら

①〜⑤のポイントをしっかり確認しておきましょう。⑥は私もリサイクル購入時は確認したことはないです。

 

慣れてきたら

あくまでこれは基本の話。慣れてくると、長さや前後の幅など自分の好みが出てきます。また少しサイズが足りなくても着る裏技などもあるので、どうしてもの場合は調べてみてください。


さいごに

いかがでしたか?よく着物は相続できるなんて言いますが、個人的にはサイズの問題もあり、子どもに継げたらラッキーくらいに思っています。ただ、お直しできるのも着物のいいところ。お気に入りのものは諦めないで、サイズを直しながら、長く着ていきたいものですね。